今回はデンソーで期間工を実際に2年やってみて辛かったことと、車体系でも部品メーカー系でも絶対に遭遇するパターンを解説していきます。
ただ普通に仕事して生活しているだけでも大したことないものから相当嫌なことまで幅広く起こります。
入社時の健康診断で身体検査をされる
車体系でも部品メーカーでも必ず入社した当日か次の日には健康診断をするのですが、男性は検査項目によっては上半身裸で待機させられます。
筋トレで鍛えている人でもなければ何にも包まれていない状態はストレスです。
奴隷市場で品定めされているような感じもするのであまり良い気分ではないです。
この時に入れ墨・タトゥーの有無、健康状態に重大な問題や異常が見つかるとその人だけ呼び出されて最悪の場合退社になります。
余談ですが僕はデンソー以前の健康診断で何箇所か悪い判定をもらっていたのですが、デンソー入社時の健康診断は無事にクリアしました。
過去記事で書いていますのでよろしければご覧ください。
期間工の睡眠と食事と健康。寮生活や健康診断などの実体験を元に解説
自分という人間が分からなくなる
夫婦関係の調査をまとめた本に書かれていたのですが、
女性は1日1時間は会話をしないとストレスを感じるそうです。
さらに子どもができて自分の時間が確保できない状態になると
「私の人生ってなんだっけ?」という状態になるそうです。
これは女性に限定した話ではなく工場で最低限の挨拶しかしない人や、休憩中や寮に帰って話し相手がいない人はこうなります。
退社後の目標や憧れの人物を思い浮かべてなんとか持ちこたえても、日々そういったストレスが続くと次第に押しつぶされていきます。
寮や食堂で物質的欲求が満たされていたとしても精神的欲求である人とのつながりが満たされないと、一段階上の承認欲求(仕事で認められたい等)のステップに進むことはないと言われています。
仕事場で無気力な人がいるのはこういった理由があると僕は考えています。
画像出典:マズローの欲求5段階説とは? 知っておくべき心理の法則 | STUDY HACKER
在籍中に寮で自殺者の噂が流れたこともあるので工場内では人付き合いが大切だなと感じました。
対策を過去記事で書いていますのでよろしければご覧ください。
リセット症候群・人間関係に疲れた・めんどくさいと思う人でも上手に人付き合いができる方法。僕が期間工で実践した魔法の法則
職場の悪意による期間工の自殺。狭いコミュニティのイジメ。”最悪”を想定して僕が気をつけたこと
正社員から蔑まれる
希望を持って入社した人でも現実とのギャップで絶望することがあります。
大手企業ゆえの給料に転職の踏ん切りが付かずにズルズルと続けて、日々不満を抱えている人が少なからずいます。
そういった人たちが自分より下の人間を作りだして自我を保っているのです。
仕事ができない人、人付き合いが下手な人、上司や職場の仲間とうまく行ってない正社員さんがこういう傾向にあります。
ちなみに工場の社内講習で会議室などに行くと設計や技術系の社員さんとすれ違うことがあります。
彼らは理系大学を出て日々仕事に追われている意識の高いエリート階級の方々なので、もちろんクズを見る目つきで見られます。
彼らの持ち場をうろうろしたり食堂や自販機で彼らを待たせているときも同様です。
大手企業のメリットとして期間工は別の部署に異動することが簡単にできます。
歯車なので簡単に変えられるのです。素敵ですね。
どう接しても人間関係が良くならないと感じたら上司に相談しましょう。
大遅刻した時のことを過去記事で書いていますのでよろしければご覧ください。
大遅刻したら一発でクビ?処罰は?デメリットは?その後どうなる?デンソー期間工の実体験談
3直2交代制のシフト勤務で生活リズムが崩れる
工場は稼働を止めなければ生産効率が上がります。
工場が完全週休2日になっているのはそういった理由があります。
24時間動きっぱなしにするために期間工・社員さんともに夜勤をすることになる訳です。
自動車メーカーで夜勤専属の人を見たことがありません。
メリットがないのでしょう。
夜勤は寿命が縮むと言われていて役職者の人は嫌がります。
期間工としては給料が高くなる要因なのでやらざるを得ません。
僕は元々夜勤をしていたので平気でしたが、皆さんこれがキツイようです。
行って帰ってくるだけの毎日
日勤・夜勤の交代があれど週明けから5日間はずっと同じタイムテーブルで出勤することになります。
そうすると寮と工場を毎日同じように行き来することになるので非常に病んできます。
退社後にできることと言えば近くのスーパーやコンビニで買い物することぐらいですが
工場や寮は郊外や田舎に作られることが多いので周辺の商業施設も早く閉店することでしょう。
寮の部屋も狭いので出来ることといえばスマホでネットを見ることぐらいでしょうか。
このつらい毎日を繰り返していくことになります。
これを防ぐには帰ってから仕事のことを忘れられる趣味であったり、料理などの簡単な家事やゲームをやるのが良いです。
寮に仲間がいれば喋ったり一緒に大浴場に行くのも良いでしょう。
一人なら筋トレや勉強なんかも効果的です。
物を盗まれる
更衣室にスマホやカバンを置き忘れたときや鍵を掛け忘れたとき。もう手遅れです。
晴れのち雨だと傘置きの傘が盗まれます。
休憩所に置き忘れたスマホや保護メガネやボールペンといった備品も良いものを使っていると帰ってきません。
寮はさすがに犯人が絞られるので盗られないかと思いきや、玄関が空いていれば共用部の物が盗まれることがあります。
寮の表札一覧を見れば上下階の留守は簡単に分かるので不用心で鍵を掛けていなければ簡単に入れます。
言葉がきつい
ベルトコンベアなどの駆動音、電動工具を使う騒音で言葉が聞き取りづらい環境です。
しかも男社会。
そんな中で何回も聞き返されるとイライラしてきつい言葉で言われることがあります。
期間工の作業は分業されて1工程がかなり簡単になっているので、簡単ゆえにミスをすると「ミスがありえない工程でお前何やってたの?」とか結構キツイ言葉で説教を食らうことがあります。
単調作業で気が滅入る
どんなに鈍臭い人でもできるのが工場の仕事です。
1ヶ月もやると慣れを通り越して飽きてきます。
そして体は肉体労働で拘束されていても、頭は暇なので嫌でも他事を考えるようになってしまいます。
そうなると負のスパイラルに突入します。
人間は何も刺激がない状態が続くと精神的に追い詰められておかしなことをしていきます。
仕事に余裕が出てくると仲間内を批評・攻撃するのはこれと関係があると僕は考えています。
こうならないようにするために
勉強、読書(Youtubeの本の要約でもOK)、副業などのビジネスの作業予定、休日遊びに行く場所のことなど工場の仕事以外で考えられることを作ったほうがいいです。
いつでも正確さとスピードを求められる
工場はベルトコンベアで全ての工程がつながっているので一人だけゆっくり作業する訳にはいきません。
それ故にどんなに鈍臭い人でも、OJTで実践でできるようにさせられます。
これが健康で元気な状態でこなせるうちは良いのですが、
酒を飲みすぎたり、寝不足だったり、病気ではないけど健康でもない微妙な状態でも同じペースを求められます。
ホワイトカラーであれば「午前中は30%のパワーで持ちこたえて昼から120%のパワーで挽回」なんてこともできますが工場のライン作業ではそんなことできません。。
うっかり不調のときに出勤してしまうと地獄を見ます。
ただし簡単な仕事という性質のおかげでメリットがあります。
突発で休みを入れやすいことです。
現場としては不調なら出勤してくるなというスタンスなので、病気や体調が悪いときに上司に連絡を入れることで休ませてもらえます。
ばね指やギックリ腰などの炎症、足裏の魚の目やタコなどの症状
これは車体系でも部品メーカー系でも共通の職業病で体を酷使することで発症します。
部品メーカー系だと定時8時間+残業2時間で2000個近い製品をチェックするので、まったく同じ動作で特定の体の部位しか使いません。
車体系は数は少なくても重労働なので体への負荷は大きいです。
体の回復力よりも毎日の負荷のほうが大きいと体が突然痛みを発します。
太っている人や傷をかばっている人はさらに早く痛みが出ます。
対策や予防について過去記事で書いていますのでよろしければご覧ください。
ギックリ腰の原因と予防と治し方。温めるor冷やす?予兆や再発は?効果がないものは?電気治療が良い?労災は?デンソー期間工在籍時の実体験談
拘束時間が長い
デンソーだけかもしれませんが、定時始業前に残業として1時間ほどの作業をやることがあります。
それに加えて定時後の残業もあるので時間が非常に長く感じます。
帰宅して食べるものがない寮生だと退勤後に食堂でご飯を食べなければなりません。
喋ってる余裕が無いなーってときに限って食堂で誰かと出くわすこともあります。
そんなことをやっていると職場にいる時間がもっと伸びていきます。
寮からバスで片道20分ほどの工場でしたが、帰りはたいてい寝落ちしていました。
社員登用を目指している人は勤務時間が短くなるかわりに面接や改善書を書く必要があるので、どのみち拘束時間は長くなっていきます。
JITで常にカツカツの納期を迫られる
JITとはジャストインタイムの略でトヨタが提唱した欲しいときに欲しい分だけ供給させるシステムです。
自動車部品用の倉庫を設けないことでムダな経費が減らせるという全ての元凶素晴らしいシステムです。
このせいで物流トラックが路上駐車して時間調整するツケを払わされることになりました。
それはさておいて、部品メーカーもそのシステムに巻き込まれることになります。
毎月ごとの生産目標数に届かない場合は休日出勤や毎日の残業が発生するようになっています。
デンソー側で作り置きはできるのですが限りがあります。
生産の目処が分かっていて余力があったとしても計画通りにしか作業しません。
不慮のマシントラブルで生産が落ちても後手後手の状態で穴埋めの生産をするのです。
ラインを止められないプレッシャーが生じる
これは車体系のような長いラインでも、部品メーカーのように短いラインでも起こります。
複数人で回す工程だとどうしても後工程がつっかえることがあるし、逆に自分の工程が遅くて前工程を待たせることがあります。
運転もそうですが前方車が遅いと煽りたくなります。
男社会の体育会系なら間違いなく煽るでしょう。
あまり気分が良いものではありません。
覚えることが多い工程、ミスが多くて精神的に辛い
期間工の仕事は配属された部署によっては
マニュアル通りに書かれた動作を行えばできる簡単な作業から
気温や機械の温まり具合でやり方を変えたり治具を交換したりする職人技が必要な工程までピンキリです。
もし職人工程に入ってしまったら、そのマニュアル化されないコツを掴む修行が始まります。
正社員志望の人は通常業務以外に製造マシンと作業者を監督するオペレーターという役をやります。
通常の作業でもマニュアルがあって覚えさせられるのですが、オペレーターは倍以上の細かいマニュアルを覚えさせられます。
さらにオペレーターとして業務を行っていくと些細なミスから、マシントラブルやヒューマントラブルで指導されることが多くなります。
日本社会は減点方式なので新しいことにチャレンジするより既存の仕組みをミスなく回す人間のほうが最終的な評価されるので、中途半端に要領が良いとやり損になることがあります。
工場内に空調がなく、夏は暑くて冬は寒い
僕がいた幸田製作所は電子部品を扱うので空調で一定の気温・湿度が保たれていましたがそんな工場は稀です。
基本的に休憩所や食堂以外に空調はありません。
塗装工程やオイルまみれになる工程は常に換気するので空調がないかもしれません。
夏は運が良ければ組立工程でもスポットクーラーや塩飴や水が当てがわれるかもしれません。
熱が発生する工程だと夏場はヤバいくらい汗でビシャビシャになるでしょう。
死にはしないけれど死ぬほどしんどい環境で働くことになります。
何をするのにも待ち時間がある
自宅から工場まで乗用車で来る人は出勤・退勤時に渋滞で待つことになります。
中小企業でも大企業でも駐車場の入り口は1台分しかないのでボトルネックになって渋滞するからです。
休憩時間のトイレも一斉に人が来るし休憩室の自販機も並ぶので本当に良いことがないです。
食堂は昼休憩になると大量の人間が我先にと食堂に駆け込んできます。
例えるなら東京の通勤電車のようなイメージ。
僕は人混みが嫌いで待ち時間が長いとイライラするタイプです。
暇つぶしにスマホでも触れれば良いですが工場の中なのでそうはいきません。
帰りの更衣室も人がなだれ込むので隣のロッカーの人と鉢合せると、混雑した温泉みたいになって気まずいです。
寮の環境
築40年以上、まともにリフォームされている部分が少ないです。
築40年以上の寮で建物の中央に下水を集めて排水しているのですが
中央の洗濯機は下水の臭いが染み付いて洗ったのに臭くなります。
夜勤で寝ていると日勤の同居人が帰ってきて目が覚めます。
部屋にいても音が漏れるので音楽を垂れ流すこともできず「自分の世界」に入り込むことが難しかったりします。
たまに平日に工事や草刈りをするので強制的に眠れない日が出てきます。
お湯は洗面台に設置された給湯器からしか出ません。
10Lほど出すとお湯が出なくなります。
キッチンは水しか出ないので冬の皿洗いが地獄です。
配管も老朽化してるせいなのか水が臭いので浄水ポットと麦茶パックが必須です。
筑前煮を作ってるときに撮った共用部の写真(再現)です。
本来は共用部に物を置くのはNGなのですが、一人部屋状態になって色々置いてました。
古い建物なので160cmの人間を想定して作られています。
写真では伝わりにくいですが、170cmの人間には洗面所もキッチンも少し低くて使いづらいです。
微妙に屈まないといけないので腰にも悪いです。
翌年の税金や保険料がきつい
深夜ネットカフェで年収260万円→デンソー1年目年収380万のときの変動は
健康保険 7651円→10201円
厚生年金 21960円→29280円
住民税 0円→3800円
と言った具合でした。
退職後は厚生年金や健康保険は会社が負担しなくなるので倍額を払うことになります。
働いているうちは給料右肩上がりで良いですが収入がない状態だと
収入に比例して徴収されているのを分かっていても結構滅入ります。
最後に
以上が工場でキツイことです。
半年以上前のことですが今でも鮮明に思い出します。
色々書きましたが仲間を作ったほうが圧倒的に精神が楽になります。
これが一番の対処法であり続けていくコツになると思います。
この記事で「こういうことがあるんだ」と頭の片隅に入れておいて、
いかにこの環境で楽しく過ごすかに全力を注ぎましょう。
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